Planning

安全で正しい設置のために

『ハース(Hearth=炉床)のない家には心(Heart)がない』ということわざがあります。
薪ストーブは家の中心、暮らしの中心となる大切なパートナーです。
ここでは、薪ストーブを安全に正しく設置し、効率のよい暖房を行うためのプランニングについてご紹介します。
※設置は販売店または専門業者に依頼し、お客さまご自身では行わないでください。

薪ストーブのプランニング

暖めたい広さから機種を選ぶ

薪ストーブ選びは「どれだけの場所を暖めたいのか?」からはじまります。家全体を暖める全館暖房なのか、リビングや書斎のみを暖める部分暖房なのか、また、主暖房なのか、床暖房などと併用して使うのかなど、住まい方に合わせた機種の選択が必要です。
緯度や標高など地域の気象特性なども考慮し、必要とされる暖房能力、住宅の構造や断熱性能など、複合的に検討する必要があります。機種の選択は経験豊富な地域の販売店に相談しましょう。

機種別有効暖房面積の目安
・暖房面積は目安です。お住まいの地域、住宅性能、薪の種類、設置場所などにより異なります。
・暖房面積は、アメリカ・ニューイングランド地方の建築基準に適合したもの、乾燥した広葉樹による実験データによるものです。

空気の循環を考える

暖かい空気は上へと昇り、冷たい空気は下へ降りていきます。効率のよい暖房を行うには、いかに熱をうまく循環させるかがポイントになってきます。無駄なく暖気を循環させるために、設置場所や間取りを考慮したり、シーリングファンを有効に利用するなど、専門家の意見も取り入れながら決めていくといいでしょう。

シーリングファンをつける

吹き抜けなどの天井が高い部屋にはシーリングファンを設置し、上へ昇った暖かい空気をかくはんします。

暖気の流れをつくる

吹き抜け部分に設置すると、暖かい空気が1階に広がることなく2階(ロフト)へ流れ、停滞してしまいます。そこで、吹き抜けと階段を対角にしたり、1階と2階の間にガラリ(ルーバー)などで通気孔を設ければ、対流が起こり部屋全体が暖まります。

輻射熱を利用してより暖かく

薪ストーブからは赤外線による「輻射熱」が4方向に放出されています。この熱を有効に利用するには部屋の間取りのどのポジションに薪ストーブを設置するかが重要です。大きく分けて3つのパターンが考えられます。

部屋の中心に設置

輻射熱はストーブ本体から360°放射されます。周囲に遮る壁がないため、輻射熱を有効利用できる最も理想的な設置の例です。

壁を背に設置

壁面に背を向けた場合、輻射の角度は180°となりますが、スペースの関係上、一番多い設置例といえます。

コーナーに設置

輻射角度は90°のみとなります。居住空間が優先される書斎や寝室など、限られた暖房面積に設置する場合有効です。

「使いやすさ」を考えて間取りを決める

薪ストーブの配置はリビングに設置するのが一般的ですが、リビング、ダイニング、キッチンそれぞれの位置とストーブが、行き来しやすい環境が理想的。生活の中での使いやすい動線や使用目的を考慮すると、より快適なストーブライフが楽しめます。
LDKの中心に薪ストーブがあれば、キッチンとの行き来がしやすく料理の効率があがり、ダイニングへのサービングもしやすくなります。部屋全体が暖まり、リビングからはゆったり焔が楽しめます。

安全のために知っておきたい炉台・炉壁と可燃物の保護

ストーブは全周囲から輻射熱が放出されているため、壁面や床をはじめ、薪、家具、カーテンなどの可燃物から安全な離隔距離を確保したうえで設置しなければなりません。まずは販売店との打ち合わせの段階で、各機種ごとの熱の影響範囲を把握し、事前に設置予定の場所に移動できないような可燃物がないかを確認しましょう。

炉壁と25ミリ空気層

ストーブを水平に設置でき、上に物が落下しない場所であることを確認したうえで、壁面(可燃物)と炉壁の間に25ミリの空気層(隙間)を設け、空気の循環を確保できる壁(炉壁)を設けること。

床を保護する炉台

熱から床(可燃物)を保護し、ドアが開いたときにこぼれ落ちた火の粉による焦げ付きなどを防ぐ炉台を設けること。

ヒートシールドの必要性

本体からの熱を遮断する目的として、ボトムヒートシールドとリアヒートシールドがあります。可燃物の上に炉台を設置する場合には、下方への熱を遮断するボトムヒートシールドが必要になります。バーモントキャスティングスのストーブはボトムヒートシールドを全機種標準装備しています。
壁面が可燃材の場合、リアヒートシールドを取り付けることで、離隔距離を短くすることができます。壁の材質、炉壁、ヒートシールドの有無により離隔距離は異なりますので、販売店による確認が必要です。

炉台・炉壁の材質による蓄熱性の違い

熱いストーブから壁や床を安全に守り、インテリアを引き立てるレンガや石などの炉台・炉壁。素材によって蓄熱性が異なりますので、素材とその特徴を知った上で選択しましょう。また、ストーブ本体と炉台の重量を確実に保持できる床の強度が必要となりますので、近くの販売店や設計の専門家に相談してください。

天然石・レンガ

御影石や大理石に代表される美しい素材。天然石やレンガは色や形、模様の種類が豊富で、部屋の雰囲気に合わせて選択できるのが魅力です。2つとも素材自体に厚いものが多く、温まるのに時間がかかります。しかし、一度温まると蓄熱性に優れ、緩やかに熱を放出し続けてくれます。

タイル・擬石

施工の自由度の高さや仕上がりの美しさなどから、外壁や内装に多く使用されますが、炉台の場合は天然石やレンガに比べると材質が薄いものが多く、蓄熱性に劣ります。

炉台の仕上げと
バリアフリー設計

コンクリート基礎から炉台づくりを検討した場合、床と炉台を段差なく仕上げることができるので、バリアフリーを検討する際に有効です。床面がフラットになる分、部屋に広がりが生まれます。また、基礎がストーブと炉台の荷重を受けるため、安全な床を確保できます。

煙突のプランニング

ドラフトのよさが
薪ストーブの性能を大きく左右する

薪ストーブの性能や安全性に大きな影響を与える煙突。煙を通す単なる筒と思ったら大間違い! ストーブの性能を最大限に引き出すには、効率よく煙を排出し、空気と入れ替える必要があります。それにはいかによい上昇気流=ドラフトをつくるかがポイントになってきます。
ドラフトに大きく関係しているのが「温度差」です。同じ容積で空気の重さを比べた場合、暖かい空気の方が冷たい空気よりも軽い…実はこれが排気の原理です。高い断熱性能を持つ二重煙突であれば、煙突を通って排出される煙の温度(排気温度)を高温のまま保つことができ、スムーズなドラフトが得られます。

排気効率の悪い横引き煙突

横引きが長い煙突はドラフトにブレーキがかかり、煙の渋滞を起こします。そのため横引きは、必要最小限にとどめる必要があります。

煙突火災を予防する断熱二重煙突

煙突火災とは、煙道内に付着したススやタールなどに引火して煙突内部が高温になり、その熱が煙突外部に放射されることをいいます。可燃物に引火すると火災になります。
断熱二重煙突は、排気温度が高温に保たれ煙がスムーズに排出されるため、煙突内部に煙の不純物(スス、タール等)の付着を抑えます。温度が低くなる屋外の煙突ほどこの効果がハッキリ現れます。

×断熱二重煙突を用いない施工

シングル煙突は、排気熱が煙突外部に放射されやすく、煙突上部ではドラフト効果が弱まります。同時に煙の排出が遅くなり、ススやタールなどが煙道内に付着しやすくなり危険です。また屋外のシングル煙突では、結露がおきやすくなります。シングル煙突はストーブと断熱二重煙突を接続するコネクターの役割にとどめます。

断熱二重煙突を用いた施工

排気温度が高温に保たれる断熱二重煙突は、安定したドラフト効果により煙がスムーズに排出されます。そのため煙突内部のススやタールの付着、および結露の発生を抑えます。
断熱二重煙突NOVA >

効率よい排気を促す煙突

スムーズに空気を入れ替えるには「ドラフト」を効率よくすることを考えましょう。それには、最低5m以上煙突の高さが必要になり、煙突がまっすぐな状態で設置されていることが理想的です。安全性確保のため、必ず断熱二重煙突を使用してください。二重煙突の断熱材により煙突内が保温され、排気もスムーズになります。

防火上必要な煙突の高さ

屋外への煙突突き出しの高さは、防火上有効な距離を設けなければなりません。煙突は屋根を貫通する部分から90㎝以上高くし、さらに水平に測った周囲3m以内の障害物よりも60㎝以上高くしなければなりません。

数値はアメリカ本国の法律によるもので、参考の数値です。現場によって、数字どおりにできないことがありますので、販売店にご相談ください。

3つの代表的なスタイル

煙突の設置方法には、屋根を貫通させる方法と壁を貫通させる方法があります。また、屋根を貫通する場合は吹き抜けなのか、二階建て(ロフト)なのか、などで施工方法が異なります。まずは代表的な3つのプランニングを知っておきましょう。

吹き抜けの設置例

屋根裏や2階などがなく屋根を直接貫通する場合と、給気アダプター使用の設置例です。

2階建ての設置例

屋根裏や2階の床を貫通する場合にも、断熱二重煙突を使用して安全を確保します。

横引きにする設置例

壁を貫通し、屋外に配置する設置例。貫通部、および屋外は断熱二重煙突を使用します。

シングル室内煙突

室内煙突は断熱二重煙突とストーブを接続する際に使用するもので、必要以上に使用すると危険です。
室内(シングル)煙突は高さ最大2.4mまでに。それ以上は断熱二重煙突にします。

仕様で異なる安全な離隔距離

ストーブの防火措置と同じく、煙突も定められた離隔距離を設けなければなりません。隠蔽部や屋根、壁の貫通部には、安全離隔距離とともに可燃物への保護を行う必要があります。離隔距離は煙突の種類と壁の仕上げ方法、またストーブにより異なります。

メンテナンスしやすい部材選び

少なくとも年に1回煙突掃除が必要です。ススやタールの付着を放置しておくと、煙突火災や煙が室内に漏れる危険があります。煙突のプランニングで見落としがちなのが、こうした後々のことを考慮すること。ご自身でメンテナンスを行う場合はここを押さえておくことで、効率よく安全にメンテナンスを行うことができます。まずは販売店との打ち合わせで、メンテナンスのしやすいプランニングについてしっかり話し合いましょう。

ページの先頭へ