第二回「新穂高ロープウェイ スノーシュー」平成18年 ある冬の日
「スノーシューに行こう!」ファイヤーサイド本社、東京営業所、合同でのレクリエーション企画が持ち上がった。東京住まいの私にとって「冬山に行く」というのは、一大イベントである。しかも、未体験の「スノーシュー」。一瞬たじろぎながらも、いざチャレンジである。目的地は、奥飛騨 新穂高ロープウェイ 西穂高口駅。標高2156mの山頂!
長野自動車道 松本ICから国道158号線を高山方面に。夏場は上高地等への観光客で大渋滞する道だ。この時期は渋滞もなくスムーズ。しばらくすると安房トンネルにさしかかる。安房峠直下に位置するこのトンネルは、着工から18年もの歳月をかけて1997年に完成したもの。これにより行楽シーズンは5時間以上掛かっていた安房峠超えが、何と5分に短縮されたという。この大きなトンネルを抜け、平湯温泉等の温泉地を通り過ぎていくと、山頂に向かって伸びるロープウェイらしきケーブルが見えてくる。頂上らしき所は雲の上である。「お〜!あれだ〜!」目的地を見上げ、車内は盛り上がりをみせる。
スノーシューとソリ(雪遊びの定番!)を携え、食料を背負い、戦闘準備OK。意気揚々とロープウェイに乗り込み、頂上を目指す。新穂高ロープウェイは標高1117mの新穂高温泉駅から第1ロープウェイで標高1305mの鍋平高原駅まで登り、第2ロープウェイに乗り継ぎ、山頂である標高2156mの西穂高口駅が終点(第2ロープウェイは日本初の2階建てゴンドラ!定員121人!)。雪に覆われた北アルプスの山々を眺めながら、ロープウェイはぐんぐん登っていく。
頂上の展望台からは、奥穂高岳、焼岳、槍ケ岳、笠ケ岳、錫杖岳といった北アルプスの山々を眺めることができる。ちなみに奥穂高岳、焼岳、槍ケ岳、笠ケ岳は「日本百名山」に数えられている。標高2156mからの景色。見ごたえあり!なかなかの迫力である。また北アルプスは火山が多いことで有名(中央・南アルプスには火山がない)。なかでも焼岳は北アルプスで最も活動が激しい活火山。その熱源からくる温泉が、ロープウェイの出発点である新穂高温泉や途中にあった平湯温泉等の奥飛騨温泉郷となっているらしい。
この時期、まだまだ雪に覆われている林道から、スノーシューを装着し、いよいよ新雪の林の中に踏み出す。頂上での3月の平均気温はマイナス8.3度。
しかし、この日は天気が良く、思いのほか暖かい。体の動きもスムーズだ。「スノーシュー」とは、日本の雪国に古くからある「かんじき」に似たもので、雪上を歩く為の道具である。通常の「かんじき」とは違い、「かかと」が自由に可動する構造で、より歩きやすくなっている。また、難しい技術も必要無く、私の様に初心者でも気軽にチャレンジすることができる。
誰も足をふみ入れていない林の中の新雪をザックザックと進んでいく。スノーシューを履いているため感覚が無いが、恐らく相当の積雪であろう。スノーシューが無かったら、足がどこまで埋まってしまうのやら・・・。標高2156m、周囲は一面の雪と静寂に包まれている。視界に人工のものは一切無く、ふと見上げれば空はひたすら青く、広い。大自然との一体感。感動である!そのまま大の字に倒れこみ、空を見ていたくなる。
適当な場所を見つけ、荷物を降ろす。ソリの登場である。雪のジャンプ台をつくり、いい年の大人たちが一心不乱に遊ぶ!私が子供の頃は、今のようなテレビゲームも無く。近所に空き地や山も残っていた。学校が終われば外に繰り出し、自然の地形等を利用し、いろいろな遊びを自分たちで作り出していた。そして体力の限界まで遊ぶ。その頃に戻ったようだった。「大人が全力で遊ぶ」これはとても大事なことだと思う。忙しい毎日の中で忘れてしまいがちだが、忙しい毎日だからこそ、こういう時間を持つことが重要なのであろう。話は逸れるが、薪ストーブも大人にそういう遊びの時間を与えてくれるものである。
遊びの時間で気分は子供に戻ったが、体力だけは戻るはずも無く、斜面を登る足がだんだんヨロヨロしてくる。痛い目に会わないうちにソリ遊びを切り上げる。雪でテーブルとベンチを作り、食事。この季節ならでは。なかなかワイルドである。またしばらく自然に溶け込み、帰路につく。
時間の関係もあり、あまり奥までは入らなかったが、それでも充分に冬の自然を満喫できた。子供用のスノーシューもあるので、ぜひ子供にも経験させたい(娘は3歳なので、まだ早いが)。下手なテーマパークより、楽しく、良い経験になると思う。
スノーシューは気軽にできるものだが、基本的には「冬山」。行く先の状況に応じて、それなりの装備や安全対策をお忘れなく。
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