いよいよヒタの工場見学へ。
まずは燃焼テストの技師トーヴェンさんにご挨拶。
ちょっと照れ屋で実直そうなところにシンパシーを感じます。
我々日本人と似た国民性…これはデンマークの人と話すたびに感じたことでした。
(燃焼テストの技師トーヴェン)
日本製工作機と職人の心
工場内は生産性が高まるようロケーション管理され、スケジュールに添って整然と仕事が進められていました。
各ブースには家族や恋人の写真が貼られ、緊張感のある中でも楽しみをもって仕事をしているのが感じられます。
工場の稼働は朝7時〜午後3時半。
部署を超えて熱くディスカッションする姿がいたる所で見られました。
ヒタでは日本製アマダのベンディングマシンやレーザマシンが活躍しています。
信頼性と性能もさることながら、アフターフォローの確かさも導入の決め手でした。
精度の高さが要求されるストーブのパーツは、10個ごとに細かくサイズチェックされます。
「我々は品質を担保するために、常に確認作業を大切にしています。
設計、部品製造、組み立てでトリプルチェックを行います」とマーティン工場長。
(マーティンを中心とした水曜日の品質ミーティング。週の半ばに行うのは次の2日間で改善するため。)
青い火花を上げて働きまくるロボットは工場の花形。
誤差を許さない治具にセットされたパーツが次々と溶接されていきます。
熱によって歪みが出ないように、スポットの位置や角度も計算されてプログラムが組まれます。
同時に、ホコリや煙を排除するための空調システムが連動し、働く人の健康も守られています。
溶接が終わると丁寧な手作業でバリを取ります。
職人のアイルさんは言います。
「ヒタで働くには高い水準が求められます。職人としての心がけが大切です。
ヒタで働けば、どこでもやっていける技術が身に付きます」。
(職人の心がけが大切と語るアイル)
次のサンドブラストでは、砂のように細かいスチールボールを吹き付けて表面を滑らかにします。
担当のトニーさんは16歳からここで働いています。
高性能のマシンと職人の手により高い気密性が確保された本体は、組み立て工程へと送られます。
(ストックヤードに仕上げを待つインスパイアが並ぶ)
唯一のホーロー会社
インスパイアの特徴の1つがホーロードアのカラーバリエーション。
元はボルボなどのエナメルパーツ製造会社だけあり、現在、デンマークでもホーロー生産技術があるのは、ストーブ製造業に関わらずヒタだけだそうです。
顔料とガラスを12時間かけて混ぜた材料を鋳物のドアに吹き付け、釜にかけて焼成していきます。
(コーラルの下塗り工程。750℃の釜から出た瞬間は、ジェリービーンズのような透明感!)
ホーロー担当のジェリーさんは職人歴28年。
どこかで見たお顔…デジャヴかと思ったら、先ほどのサンドブラストのトニーさんのお兄さんでした。よく似てる!
こちらも真面目一徹を絵に描いたような兄弟です。
(兄弟で勤務。ホーロー職人のジェリーとサンドブラスト職人のトニー)
「コニーチワ! ヒロシマ、ナガサキ忘れません」
つかみがすごいシリア出身のJBことジャマール・バルコさんはアッセンブリー担当。
3台ごとのバッチ処理でプレビルドし、塗装を施し最終仕上げをしていきます。
ヒタクオリティーを日本に
出荷前には綿密な検品が行われます。
担当のアレンさんは「英語が苦手だよ〜」などと言いながらとても熱く説明してくれました。
検品で問題のあった製品は関連部門に戻し、検品場で手直しできる範囲だったとしても、必ず担当に情報をバックします。
(出荷前に綿密な検品を行うアレン)
これまで日本の品質基準に合わせるため、ファイヤーサイドから何点かリクエストを送っていました。
「フィードバックはとても嬉しいこと。こちらとしても発見がありました。
インスパイアでは、日本の市場向けにチェック項目を増やしています。
ヒタのクオリティーのために、今まで以上に厳しい検品を心がけていきます」。
常に改善に取り組む姿勢がヒタにはあります。
設計変更に関してもそのプロセスはスピーディー。
工場内に専任者がいて軽い設計変更は即現場へ反映、大きな変更はリーダーミーティングを経て決定します。
設計のスワンさんは折しも訪問日の11月2日が誕生日でした。
ハッピーバースデー!
(この日、誕生日だったスワン)
地元紙から逆取材
日本から訪れたファイヤーサイドを取材するために、地元の新聞社が来てくれました。
見出しは「日本に暖かさを提供するため、レムヴィからストーブが届けられる」。
この日は、その他にも「ストーブの買い替えに関する補助」が政府から出されるとのことで、TVの取材も来ていました。