「くにのにく」とは?

はじめて肉を火にかざした人類は、焦げた香りを不思議に思いながら恐る恐る口に運んだのでしょうか。
それとも、立ち上る薫りに胸を躍らせたのでしょうか。

人は火と共に生きてきました。暗闇を灯すために、暖をとって指先を温めるために、そして肉を焼くために。
砂漠に住む人、森に住む人、海に暮らす人。
文化や宗教によって食べない肉はあっても、「肉を焼く料理」は世界中にあります。
主食に寄り添い、香辛料と結びつき、その土地の気候と折り合いをつけながら、独自の食文化として育ってきました。

「国の肉」。上から読んでも下から読んでも「くにのにく」。
言葉遊びを忍ばせつつ、薪火(まきび)と肉料理で世界を旅するレシピシリーズを始めます。

初回の地はジャマイカ

ジャマイカはカリブ海に浮かぶ秋田県ほどの小さな島国です。
世界最速の男ウサイン・ボルトが大地を蹴り、ボブ・マーリーの歌声が風に乗る地。
山の霧のなかではコーヒーの赤い味が熟し、やがてブルーマウンテンコーヒーになります。

この島に生きる人々の多くは、かつて奴隷として連れてこられたアフリカ人の子孫です。
西アフリカの文化、イギリスの影、そして先住民の記憶、それらが重なりジャマイカ独自の文化を形作っています。

一年中、日差しに肌を焼かれる常夏の島。
豊かな熱帯の自然の中で、ピメント(オールスパイス)やスコッチボネットペッパーといった香辛料がよく育ちます。
暑さの中、スパイスをたっぷり使って肉を漬け、じっくりと焼く。そうやって生まれたのがジャークチキンです。

伝統の肉料理「ジャークチキン」

想像してみてください。使い込まれたドラム缶を横に真っ二つに切ります。
下半分に薪や炭を熾して網を渡し、上半分を蓋としてかぶせれば——、伝統的なジャークチキン屋台のスタイルが完成です。
「あれ、どこかで見たことある?」と思った方、正解です。サイズは違いますがBBQグリル「テルツォ」となんだか似ています。
ジャマイカの屋台とファイヤーサイドのアイテムが、ここで握手しました。

今回はそのBBQグリル「テルツォ」と薪ストーブはHETA「エクリプス」でジャークチキンを料理してみました。
もちろんそれ以外のアイテムでもできるレシピです。ぜひお試しください。

ジャークチキンの作り方

用意するもの

・ローズマリーの枝 …数本(テルツォを使用の場合)
伝統的なジャークチキン作りではピメント(オールスパイス)の枝を薪に加えます。今回はローズマリーの枝で香りづけします。

材料

・鶏肉 …900g (お好きな部位)
今回は薪ストーブ/鶏もも3枚、テルツォ/手羽元16本

マリネ液の調味料
・醤油 …30g
・オリーブオイル …20g
・砂糖 …20g
・すりおろしニンニク …10g
・すりおろし生姜 …10g

[スパイスミックス]
・オールスパイス …小さじ1強
・シナモンパウダー …小さじ1/2
・ナツメグ …小さじ1/2
・黒胡椒 …小さじ1
・チリペッパー …小さじ1/2〜1(調整)
・タイムまたはオレガノ …小さじ1

事前準備

1.マリネ液の調味料をすべて混ぜる。
2.鶏もも肉/フォークでまんべんなく穴を空ける。厚い場合は包丁で開いて厚みを均一にする。手羽元/肉と骨の間に包丁で切り込みを入れる。
3.バットやビニール袋に肉、マリネ液、スパイスを入れ、肉を揉み込む。
4.2時間以上(できれば一晩)冷蔵庫に入れて味を染み込ませる。

オーブン付き薪ストーブでの作り方

遠赤外線効果と対流熱で肉が柔らかく仕上がります。

1.肉を常温に戻す。薪ストーブを1時間以上焚いてオーブン庫内を200度に温める。

2.耐熱容器に肉を並べ、漬け込んでいたマリネ液も加える。乾燥を抑えるため表面にアルミホイルを被せる。

3.オーブンに入れ15分ほどじっくり加熱する。

4.肉を裏返してアルミホイルは外す。途中、刷毛で耐熱容器に残ったマリネ液を表面に塗りながら、さらに10分ほど加熱する。全体に火を通ったら完成。

〔失敗しないコツ]
火が強く高温すぎた場合……鶏肉を取り出し、天板の上で休ませながらオーブン温度が下がるまで待つ。
火が弱すぎて低温だった場合……薪を追加して10分ほど待つ。

ジャマイカの伝統食「ライス&ピーズ」。ココナッツミルクに生姜やスパイスを加えて炊いた豆ご飯です。ジャークチキンとワンプレートで盛り付けるのもオススメです。

ライムを絞って食べると爽やかな後味に。

テルツォでの作り方

炭火で焼くため、煙と焦げがつき黒く仕上がりますが、それこそがジャークチキンの味の決め手です。

1.肉は常温に戻す。チャコールスターターでココビーン(形成炭)に火をつける。火が全体にまわったら、テルツォに移し入れて本体に付いている温度計で200度くらいに予熱する。

2.予熱されたグリルの上に手羽元を並べ、時々返しながら10分ほど加熱する。加熱の具合により、奥と手前を入れ替える。

3.炭の上に香り付け用のローズマリーの枝を載せる。

4.さらに5〜10分ほど加熱し、肉の中心まで火が通ったら完成。

今回使用したアイテムはこれ↓